2026-07

ブログ・文学世界ドットコム

深夜の酒と谷口先輩のこと

深夜の酒と谷口先輩のこと深夜になるとふと酒を飲みたくなる。それは酔いたいからではなく自分の内的世界をしっとり感じるためだ。人が静かな気持ちになれるのは、深夜か早朝の起き抜けだけだ。騒がしい時間帯ではそれが果たせない。酒にはそういうところがあ...
僕の失恋

初恋の彼女

初恋の彼女 半世紀も前の話である。高校二年の三学期、席が隣になったことが縁で彼女ができた。 彼女の父親は東京医科歯科大学出身の歯科医で、開業していた。そんな背景への忖度もあって、成績の悪かった僕は進学先に獣医を選んだ。犬を飼っていて動物は好...
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僕の人生の覚書

僕の人生の覚書 僕の人生で初めての彼女ができたのは、高校二年も終わりの頃だった。 春が来て三年生になったら、もう今のように彼女の隣りに座っていることはできないだろう。都立富士高では毎年クラス替えが行われていた。焦っていた。 ——なんとかしな...
自分を語るエッセイ

救いようのない馬鹿

【作品紹介】待ち合わせをした女子がオシャレをしているのを、一体誰のため? と考えるあたり、今思い返しても、僕は人の気持ちの分からない人間なんだな、と思ってしまいます。そんな僕には発達障害があって、五十代になってそのことを専門医から指摘されま...
journalisticな作品

液体ヘリウム不足とMRI冷却技術の変遷

液体ヘリウム不足とMRI冷却技術の変遷1. 液体ヘリウムの供給構造とMRIの普及 2024年4月、富士フイルムは、液体ヘリウムをまったく使用しない「ゼロヘリウム」MRIを発売した。液体ヘリウムは、MRIの超電導コイルを絶対零度近くまで冷却す...
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家計簿

家計簿 昭和時代には父親が「電々公社」(日本電信電話公社、現NTT)に勤めているというだけで、その子供たちの間では「親の給料が安い」という事実は暗黙の了解となっていた。 僕は小学生の頃、東京・中野区の電々公社の官舎である団地に暮らしていた。...
会社員人生

1. 帝王酸素の思い出

帝王酸素の思い出 帝王酸素という会社に転職したのは30代前半の頃だった。最初の勤務地は、本社分室、通称「アネックス」と呼ばれ、江東区のウォーターフロントにあった。同じフロアーの別部署に、林田という男がいた。彼は中途採用の同期で、年齢も近かっ...
会社員人生

2. 自分の金ぐらい自分で稼げ、馬鹿者めが!

自分の金ぐらい自分で稼げ、馬鹿者めが! これまで自分にまったく自信が持てなかったのは、会社員として十分な金を稼ぎ、大切な家族を養うという経験ができなかったからだと思う。 30歳を境にメンタルの調子を崩したことがあり、その後の生活では苦労する...
会社員人生

3. 作家脳

作家脳 前職のSMCを34歳で退職し、池下治人社長(当時)の紹介で帝王酸素に移った。 年2回の賞与はそれぞれ100万円から60万円へと下がり、初任地の本社別館(江東区)から、中古機器を販売する子会社(虎ノ門)へ出向となり、さらには筑波山麓の...
会社員人生

4. いけすかん会社

いけすかん会社 34歳で帝王酸素に移り、産業ガスとくに当時黎明期れいめいきだったMRIの、電導コイルを冷却する液体ヘリウムを扱う仕事に就いた。 ある日、ヘリウム充填じゅうてん業者とともに総合病院のMRI室に入った。液体ヘリウムの補充を終えた...