適齢期

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適齢期

 フジコ・ヘミング(ピアニスト)は、自身の人生が1999年、NHKのドキュメンタリーで放映されたのをきっかけに、ピアニストとして世界的デビューを果たした。その時、彼女はすでに66〜67歳になっていた。先日NHKでそんな彼女の人生が再放送された。
 僕が中学生の頃、レナード・バーンスタインという指揮者がヘルベルト・フォン・カラヤンなどとともに有名だったが、バーンスタインにフジコは注目されたことがある。彼女は20代後半だった。これで彼女もデビューのチャンスをつかんだかと思われたが、運悪く高熱で右耳を病んでしまった。フジコは、子供の頃、高熱で左耳の聴力のほとんどを失っていたが、それに追い打ちをかけることになってしまったのである。その後、演奏家としての道は閉ざされ、彼女はピアノ教師として生きるしかなかった。
 フジコ自身が番組の中で語っている。

「わたしがピアニストになったのは68歳でしょ。あと20年早くそうなっていたらねぇ」

 僕も40浪などと威張っているが(57歳で文筆の道に入った)、人には何事も適齢期というものがある。それを無視して生きるのは結構しんどい。
 余談だが、僕もピアノでは、小学4年生の時に、河合楽器の音楽コンクール全国大会で1位をとった。大手新聞の地方版に掲載された。その時のゲスト審査員が、クロイツァー豊子で、僕を高く評価してくれた。その夫のレオニード・クロイツァーが、フジコ・ヘミングの師匠である。

 小倉 一純

カワイ音楽コンクール全国大会.wmv