不思議な夜

ちょっと怖いエッセイ
イラストACより

【作品紹介】
中学生の頃といえば、とにかく自転車だった。1年のうちで自転車に乗らない日は皆無だった。
当時は、ブリヂストンのサイクリング車が大人気だった。武藤君も僕も乗っていた。特に武藤君のは前後にウインカーの付いた電飾仕様だった。コンピューター搭載でオレンジ色の光が絶妙の間隔で点滅した。スピードメーターやラジオの付いたものまであり、暑い寒いを我慢すれば、乗用車を運転しているような気分にもなれた。前2段、後5段の10段変速が主流だった。レバーは車のシフトレバーを模したデザインになっていた。

【武藤君】
登場人物の武藤君(武藤肇君)は、今の天皇陛下のご学友である。僕らの生年は昭和33年だが、天皇陛下は昭和34年。武藤君は一浪で学習院大学理学部に入学し、そこでオーケストラの部員となった。担当パートは、ビオラ。天皇陛下はもちろん現役入学。つまり、天皇陛下(文学部史学科)と武藤君は同じ学習院大学の同窓生で同学年で同じオケラ部員。天皇陛下のパートも武藤君と同じビオラであった。武藤君からは、テレビや雑誌では知ることのできない天皇陛下(当時の愛称:ヒロちゃん)の様々なエピソードを聞かされた。
余談だが、武藤君が僕のクラッシック音楽の師匠である。中学の授業が終わると毎日のように武藤君の自宅に集まり(もうひとり仲間がいて都合3人のグループ)、名演を聞いては、合評会を行なっていた。