縦書きVS横書き

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イメージ画像(イラストACより)

縦書きVS横書き

 縦書きで作品を公開していたが、最近どうも疲れる。なんでかと考えてみたら、時流が、横書きを求めているからだと気が付いた。
 日本では、新聞や紙の本はまだまだ縦書きだが、中国や韓国では、小説家が出版する作品もすでに横書きになっているらしい。
 生け花を教える団体に入っていたことがある。ホームページをつくって差し上げましょうか、と師匠に申し出たら、横書きだったら絶対に嫌だと念を押され、話が立ち消えになったことがある。
 随筆春秋という同人に入ってからは、字体にも関心を持っている。WordpressでHP&Blogをつくるにも、雰囲気がマッチした明朝体を使いたい。今では自前サイトで、解星明朝シリーズの「解星オプティ」を使っている。意識的に時間をかけ、やっとのことで腑に落ちる字体に辿りついた。とにかく雰囲気がいい。純文学の趣きを壊さないのだ。
 ちょっと古い人だと「いくらそんな字体を選んでもダメさ」「他のパソコンで表示したら、適当なゴシックに置き換わるが関の山だよ」こんな反応をされる。
 しかし、昨今のフォントはウェブフォントといわれ、表示される直前にクラウドから効率よくその字体の情報がダウンロードされる仕組みになっている。
 余談だがユニバーサルアイコンというのもある。こちらは情報がダウンロードされるわけではないが、できるだけ万人に共通の環境を使って、どのパソコンでも同一に表示されることを目指している。
 とうとう、自前サイトで、横書きの文章も掲載することにした。この紙面もそうである。
 解星オプティを使い、大きめの18pxを使っている。段落毎の字下げも行っているから、横書きでも純文学的風情を壊していないと思う。純文学の同人誌でも最近は横書きを視野に入れているところもあるようだ。
 予備校で古文の教師をしている人がいっていた。偏差値の高い子でも、縦書きの文章は横書きの半分以下のスピードでしか読めないという。ということは、その子は、普通の紙本など読まないのではないだろうか。
 もっとも現在では、ユーチューブなどでもかなり高度なことを分かりやすい解説でしかも無料で教えている。一般のウェブサイトでも、探せばいくらでも啓蒙的なコンテンツが見つかる。彼らには、敢えて、縦書きの本を探して読む、という必然性はないのだろう。
 そんなことをツラツラと考えていたら、僕もそろそろ、年貢の納め時かもしれないと思った。時流に棹させば疲れるに決まっている。

小倉 一純