正論をふりかざされると……

佐藤愛子先生を筆写

正論をふりかざされると

 世の中には正論というものがあって、我々は平和な暮しの中では、正論を口にして満足している。
 しかしいったん、波瀾が巻き起るや、その波立ちの中にあっては、正論などクソ役にも立たぬ場合が多いのである。
 ——朝雨女のうでまくり——

◆佐藤愛子『人生・男・女 ―愛子のつぶやき370―』(文化出版局、昭和59年11月)より筆写